2022年7月1日金曜日

SHURE SM7Bの注意点と正しい運用方法

多くの配信者が使用している SHURE SM7B (シュア エスエムナナビー) は本当にストリーマーに適したマイクなのか?

SM7Bは、とてもいいマイクですが、ダイレクトマイクの特徴が欠点になりやすいです。
この記事では、これから配信したい人にSM7Bを知ってもらいたくて書きました。買う前に読んでいただけると嬉しいです。

ここでは、ストリーミング・ライブ配信環境を構築する際のSM7Bの評価です。ホームスタジオでのレコーディング環境構築になるとSM7Bは欠点の無い最強マイクです。その評価が配信者界隈にも伝わって広く使われるようになっています。

SM7Bの欠点
SM7Bの正しい運用
SM7Bを個人配信で使えるオススメ機材
SM7Bを買ったストリーマーの失敗談

SM7Bの欠点

SM7Bというよりは、ダイナミックマイクの欠点です。
配信で使われるマイクとしては、コンデンサーマイクの方が適正が高いです。

ダイナミックマイクは 耐久性が高いこと・音源として生音が録音できる。
そのため、声真似や歌をコンテンツにする人に適しています。
ただし、ダイナミックマイクは感度が低く、内部にアンプなども無いため出力が低いです。

SM7Bには、60dB以上のゲインを持つAIFやアンプが必要と公式サイトに書かれています。
しかし、一般的な配信機材としてのUSB接続のミキサーやオーディオインターフェースは、良いものでも50dBです。
 ・YAMAHA AG03mk2、AG06mk2 のゲインは 50dB
 ・Razer Audio Mixer のゲインは 39.7dB

AG03でも、声量が合ったり、しっかり声を張れる配信部屋があれば、集音可能です。
しかし、AG03+SM7Bでは、普通に話す感じの配信は難しいです。

コンデンサーマイクは、小さな音まで拾おうとしてしまうため、タイプ音やマウスのカチカチ音を拾ってしまう欠点があります。SM7Bはダイナミックマイクなので、ノイズを拾い難いという特徴があることをこの章の最後に付け加えておきます。

SM7Bの正しい機材選び

前述したようにSM7Bは、出力が小さいため大容量のマイクアンプが必要です。公式サイトに書かれている推奨機材はレコーディングスタジオレベルの物が並んでいます。
 ・Grace design M101 実売価格 25万〜30万
 ・Radio Design HR-MP2A
 ・Sounde device USBPre2
 ・M-Audio C400
 ・Focusrite Scarlett 8i6 (2i2はダメ)

安いものでも10万円以上します。個人用というより、音響機材業者が取り扱うスタジオ用の機器ばかりです。これからもSM7Bがどういうマイクか理解できるでしょう。
SM7Bはいいマイクですが、これから配信者を目指す人が最初に買うマイクとしては不適切です。周辺機器も使うのが難しいプロ用の物になってしまいまし、初期投資が大きすぎます。

どうしてもSM7Bが使いたい人への対応製品

Cloudlifter CL-1


マイクプリアンプをAIFとSM7Bの間にかませることで、ゲインが得られます。

機材が一つ増えるので、ノイズ除去はボリュームコントロールが難しくなります。
それでも、個人配信で AG03 + SM7B + CL-1 なら運用実績が一番多い商品です。

他にもマイクプリアンプは安価な物から沢山ありますが、ゲインを上げるとノイズが増えます。安いものは音響用コンデンサーではなく、安い一般用コンデンサーを使っておりどうしてもノイズが増えてしまい使い物になりまん。CL-1がギリギリ実用可能なレベルの製品です。

もう1つの選択肢 Elgato Wave XLR

エルガトのマイク専用IFです。
これは、ゲイン MAX75dB と大容量です。
ノイズも入り難く SM7Bを直接接続して、USBでPCに取り込んでも十分な出力が得られます。
ただし、AG03mk2 のようなミキサー機能やボイチェン機能は無いので、シンプルに声を配信に取り込むだけで良い人はこれを使うのもありです。
実際の配信では、家庭用ゲーム機の音声を入れるなどミキサー機能が必須なので、チョイスする際は運用方法をしっかり検討してください。

最後に失敗例でも紹介しますが、
もともと声量なくマイクで拾い難い声の人はこの構成でも難しいです。
SM7Bを諦めてコンデンサーマイクを選択するか、
USB接続の配信用AIFではなく、高価でしっかりゲインを得られる音響機材のAIFを数十万かけて導入してください。

SM7Bを買って失敗した配信者の例

私のところに相談に来た女性配信者の実例です。その方は、いわゆる「萌声」(もえごえ) が特徴のゲーム配信者でした。庇護よくを掻き立てられる、か細い高音を 声帯を縮めて出していました。(タバコとお酒で声が焼けていて、声量が出ない)

この方は、視聴者から声が聞き取り難いとたびたびコメントで指摘され、多くの配信者が使用する SM7B を欲しい物リストで入手しました。
使用機材は 旧AG03 のみです。

このパターンが非常に多いです。
声量が無い or 防音室が無いため声が張れない のにSM7Bを購入してしまう。
しかも、配信用のAIFのみ。

この配信者は声がカワイイを売りにしていて、音質をさらに良くし、集音性も上がると期待していたとのことです。
しかし、音質は上がっているはずだが、この機材では十分なゲインが得られなかった。

SM7Bは本来は配信向けではなく、ラジオやレコーディングのスタジオで使うマイクです。一般的なオーディオインターフェースではゲイン不足で、出力最大にしても声が聞き取り難くなります。通常の声量であれば、プリアンプなどをかませて対応できますが、この人はそもそもの声量が小さく、しかも擦れ気味で聞き取り難いので、コンデンサーマイクを提案しました。AKG C414 と Logicool BlueBird SL をお勧めし、後者を選択されました。

参考文献
 ・SHURE公式 SM7B FAQ「出力レベルとプリアンプについて」

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